参加レポート:新たな公共の担い手(NPO)と行政の間~自治体のあり方と高齢者福祉~(青森公立大学大学院公開講座)
2010年9月7日、昨年から時間がある時に参加している青森公立大学大学院公開講座の今年度1回目がアウガにて開催されました。かなり遅くなってからのレポートですが公開します。
1つのテーマについて、全6回のセミナーを行うのですが、今年度のテーマは「分権型社会の自治体と住民~行政のあり方と高齢者福祉~」。
講師は、青森公立大学 教授 佐々木俊介氏。そして、今回の演題は「新たな公共の担い手(NPO)と行政の間-自立と連携のあり方-」でした。
新たな公共の担い手について
新たな公共の担い手の必要性が問われることが多くなってきている中で、市民グループやNPOなどの民間の活動と行政の連携が上手くいくにはどうしたら良いのか? 行政と市民、行政と民間での議論が不十分な状態。
財政のひっ迫などの理由から行政の息詰まりがあり、民間や市民グループの力が必要な時代になってきている。
今までは行政に頼らざるを得なかったが、行政自身も事業が水膨れ的に肥大化している事や、世の中の環境の変化に対応しきれなくなっている。 反面、市民グループなどが経験や知識を増やしていることから、行政にすべてを任せるような、行政主体の地域づくりではなくなってきている。
誰がどのように新たな公共の担い手になるのか?
市民は、個人や家庭レベルでは対処出来ないことを行政に負託しており、行政の存在意味の1つとなっているということ。
例えば、災害に対する備えとして崖崩れの防止や、大火災の対処など。
負託している側とされている側として、それぞれの責任を意識する必要がある。
市民、民間も行政が何をしているのかを知り、評価・点検をしないといけないと考えることで、市民自身も公共の担い手にならないといけない。
NPOの定義を変える
NPOの背景について
1995年の阪神大震災でのボランティア活動によって、市民の役割・可能性として認識され、後にNPO法が作られ、民間の利益を目的としない社会活動の土台が出来た。 社会的な認知度が増え、参加者も増え、より活発化してきている。良いことも悪いことも関心を集めるようになっている。
Non Profit Organization(ノンプロフィットオーガニゼーション)
民間非営利活動団体:利益を目的としない活動組織。 利益を目的としてはいないが、収益活動を行ってはいけない訳ではなく、納税の義務を果たしていれば、NPOでも収益活動を行なっても良い。
ただ、「非営利活動団体」と言う名前のがあるため実際には収益活動を行ないにくい状況。
これにより、NPOの財政基盤は弱く、組織として一番の問題となっている。
New Public Organization(ニューパブリックオーガニゼーション)
これは、NPO法策定に舞台裏で関わっていたという日本NPOセンター山岡氏の提案だそうです。
営利・非営利に手足を縛られない組織として再定義しては?と言う事であり、金儲けに走るというものではない。本来の目的である社会的使命を持った活動を行う組織。
収益確保の意味
現在はボランティアスタッフも多く、組織維持のために会費や寄付によって活動資金やスタッフの人件費をまかなっている。
そのため組織・スタッフそれぞれにゆとりがなく、組織維持に四苦八苦している。
本来の目的とは別の種類の事業や活動を受託してやらざるを得ず、目的・使命がわからなくなっているNPOもある。
収益確保により安定継続が可能になれば、レベルアップもでき、本来の目的に専念出来る環境が整う。
ただし、NPOが行う収益活動は弱いと言う実状はある。
収益活動が弱い理由
- NPOが収益活動を行う事に対しての認知度が低い
- NPO法などの制度的な不備
- 経験・知識の不足
- 収益を上げる事に困らないような事業であれば、すでに企業が参入している。
- ローカルなマーケットをターゲットとすることが多く、市場規模が小さい。 本来の目的とのバランスが難しい。
実際の現状として、行政からの事業を受託してなりたっているNPOが多い。 NPOが自立し本来のミッションを遂行するためには行政も不可欠になる。
コミュニティビジネスとソーシャルビジネス
新しい動きとして、コミュニティビジネスとソーシャルビジネスが将来NPOの柱になるのでは?とのこと。 コミュニティビジネス・ソーシャルビジネスについて、ウィキペディア・経済産業局・ソーシャルビジネスネットのホームページに以下のようにありました。
コミュニティビジネス
地域(コミュニティ)等におけるニーズや課題に対応するための事業がコミュニティビジネスである。主に地域における人材、ノウハウ、施設、資金等を活用することで、対象となるコミュニティを活性化し、雇用を創出したり人の生き甲斐(居場所)などをつくり出すことが主な目的や役割となる場合が多い。さらに、コミュニティビジネスの活動によって、行政コストが削減されることも期待されている[1]。 コミュニティビジネスは、近年、全国的に広がっており[2]。その経営主体は有限会社、NPO法人、協同組合などさまざまな形態がある。最近のコミュニティビジネスの社会的な機能として、
- 行政の民営パートナー・協働パートナーの育成と行政コストの削減
- シニア、主婦、学生等による社会起業家の排出
- NPOや市民活動の自立化と継続性
- 地域経済活性化、地域の特性を活かしたまちづくり、地域おこし
などが期待されている。
また、コミュニティビジネスは指定管理者制度、構造改革特区、市場化テストといった制度との関係性も深く、新しい公共の担い手として、行政コストの削減とともに地域におけるきめの細かいサービス提供の担い手としての役割も期待されている。
社会的企業、ソーシャルビジネス、ソーシャルアントレプレナー(社会的企業家)、事業型NPO、非営利株式会社などとも関係が深い。コミュニティビジネスの具体例まちづくり
- 地域情報の発信
- 商店街活性化
- 環境・資源の保全
- 高齢者支援
- 子育て支援
- 子どもの健全育成
ウィキペディアより
今、コミュニティビジネスが全国的な広がりを見せています。
コミュニティビジネスは、地域資源を活かしながら地域課題の解決を「ビジネス」の手法で取り組むものであり、地域の人材やノウハウ、施設、資金を活用することにより、地域における新たな創業や雇用の創出、働きがい、生きがいを生み出し、地域コミュニティの活性化に寄与するものと期待されています。
関東経済産業局では、コミュニティビジネスの創出推進に取り組んでおり、コミュニティビジネスに関する調査研究、ホームページやメールマガジンによる情報提供、交流会・シンポジウムの開催のほか、コミュニティビジネスを側面から支援する中間支援組織を地域に設立する活動などを積極的に推進しています。
関東経済産業局ホームページより
ソーシャルビジネス
「ソーシャルビジネス(SB)」とは、環境や貧困問題など様々な社会的課題に向き合い、ビジネスを通じて解決していこうとする活動の総称です。ソーシャルビジネスネットHPより
- 社会性:現在解決が求められる社会的課題に取り組むことを事業活動のミッションとすること。
例えば・・・ 環境問題、貧困問題、少子高齢化、人口の都市部への集中、ライフスタイルや就労環境の変化等に伴う高齢者・障害者の介護・福祉、共働き実現、青少年・生涯教育、まちづくり・まちおこし等々・・・- 事業性:1のミッションをビジネスの形に表し、継続的に事業活動を進めていくこと。
- 革新性:新しい社会的商品・サービスや、それを提供するための仕組みを開発したり、活用したりすること。また、その活動が社会に広がることを通して、新しい社会的価値を創出すること。
関連リンク
- 「ソーシャルビジネス研究会報告書」の公表について:経済産業省HP( http://www.meti.go.jp/press/20080403005/20080403005.html)
- ソーシャルビジネス55選:ソーシャルビジネスネットHP( http://www.socialbusiness.jp/case/ )
事例紹介
事例紹介として、青森の大間町で活動している「あおぞら組」や、「ガイヤ展勝の会」、長野県の松本市・小布施町などの紹介がありました。
感想
昨年から参加しているこの講座の今年度1回目という事もあり、仕事の合間を縫って参加しました。
今年度のテーマが「分権社会の自治体と住民~行政のあり方と高齢者福祉~」。
なんとなく小難しそうだったなと思ったのと、それほど興味のある分野でもなかったんですが行って良かったです。自身の見識が広がるいいキッカケになりました。

