今回のレビューは、レビュープラスさまより献本いただいた「プロ弁護士の「心理戦」で人を動かす35の方法 (著:石井琢磨)」になります。

「心理戦をうまく乗り切るステップは、「1.感情→2.論理→3.感情」 まず、相手に好かれ、話を聞いてもらえる状態にしてから論理的に説得し、合意へと導くのです。」 これが本書の趣旨です。

それぞれのステップについては、章を追うごとに順番に解説されているので流れがスムーズです。 弁護士さんに関わる内容は一般の人にはわかりにくい点もあると思うのですが、複雑な関係は図で解説してあるのでわかりやすいです。また時折、項目の最後に「攻略ポイント」が記されています。

この攻略ポイントだけでも目を通しておくだけで心の持ちようが変わりそうです。

  • 【第1章】連帯関係を結ぶための基本的なアプローチである「好かれる方法」
  • 【第2章】相手と「関係づくり」をするための心理的なアプローチ法
  • 【第3章】交渉の成果を意識した「要求を通す」ための誘導法
  • 【第4章】論理を組み立てるうえで押さえたいキモ
  • 【第5章】相手の最終感情への配慮の仕方について、相手に加えて自分自身の「負の感情」との付き合い方について

【第1章】

<理不尽な要求でも断れず、相手に従ってしまう心理状態>

  • 相手から怒りをぶつけられ「感情的になったとき」
  • 対等ではない相手から要求を受け「視野が狭まったとき」
  • 自分のペースを乱され「同点したとき」

心理戦を制する三つのステップ

感情に対処する
  • ー警戒心をほぐす  
  • ー連帯関係を結ぶ  
  • ー誘導法を効果的に用いる
    (行うこと:連帯関係を結ぶ)
論理的に説得する
  • ー論破されない「説得のツボ」を押さえる
  • (行うこと:論理的に納得させる)
感情に対処する  
  • ー交渉を友好的に終えるために感情をフォローする  
  • ー自分の心を守り、ケアする
    (行うこと:友好的な感情で交渉を締めくくる) 

好かれ方の極意を学べる著書とポイント

『影響力の武器』(ロバート・B・チャルディーニ著/誠信書房)
  • 外見の魅力 ・類似性(似ている人を好きになる)
  • 称賛(相手をほめる)
  • 接触回数を増やす ・連合(好きなものと結びつける) 
『人を動かす』(D・カーネギー著/創元社)
  • 誠実な関心を寄せる
  • 笑顔を忘れない
  • 名前を覚える
  • 聞き手にまわる
  • 関心のありかを見抜く
  • 心からほめる

【第2章】

大事なのは、「共同作業を演出すること」です。 共同作業では、相手にも役割を与えましょう。

【第3章】

<質問で答えを誘導するために意識する点>

  • 「言葉選び」  
    細かい言葉の積み重ねが行動に影響を与える
  • 「質問の前提」  
    人は質問されると思考します。誤道とわかっても、一瞬、どちらが良いだろうか、と考えてしまうのです。
  • 「一貫性」  
    人は一貫性を保ために、過去の言動と同じように振る舞うという習性があります。 一貫性がないと信用されなくなります。

<タイムリミットを生かした交渉例>

「希少性の法則を用いる」=期限つきのオファーを出す

注意点:

  • 「チャンスを逃したくない」と思わせる
    問題を解決する際に役立つ 
  • 不信感を抱かれないような期限を設定する
    「期限には納得感が必要だ」

【第4章】

具体的な裁判や事例などを用いて紹介している章で、論理を組み立てるためのポイントがわかります。詳しくは実際に読んでいただくといいのですが、「論理」組み立てについて印象に残った文章を掲載します。

  • 「「論理」は、「今」の状態から「目的地」に移すための心理的な移動手段です。」
  • 「論理でコントロールできる範囲を知るために必要なのが「情報」です。」
  • 「必要な論理の程度は、「相手との関係」で決まるのです。」
  • 「情報をもらうために好かれる。情報を得るために相手と良い関係になる。好きな相手には、情報を渡しやすいのです。」
  • 「論理を組み立てるために、情報を集めましょう。その中で、優先的に得たい情報が、「相手のタイムリミット」と「他の選択肢」なのです。」

【第5章】

心理戦において、最も守らなければいけないのは「自分の心」です。

<負の感情とのつきあい方>

  • 「忘れちゃえ」
  • 「正義を疑え」
  • 「相手の負の感情に共感しない」

さいごに

「ツラい状況も、いま巻き込まれているトラブルの煩わしさも、味わっている苦痛も、降りかかってくる恐怖も、止まらない不安も、時が経過すれば、感情は緩和され、経験値になります。将来の自分から見て、それを意識することで、現在の苦痛も緩和されるのです。」 著者が記すこの最後のまとめは、著者から読者への心のこもったメッセージです。今の自分だけにとらわれず、将来の自分の力も借りて現状の苦境を打破していきましょう。


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